【連載】持続化補助金を「経営の羅針盤」にする:第2回「50万円の補助金」よりも価値があるもの

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小規模事業者持続化補助金の申請を検討する際、多くの経営者はまず「いくらもらえるのか」という点に目を向けます。しかし、本制度の真の価値は、受給できる金額そのものよりも、申請に至るまでの「思考のプロセス」にあります。

連載第2回となる今回は、本制度の本来の目的と、採択を引き寄せるために経営者が持つべき「視点」について深く掘り下げます。

目次

1.制度が求める「真の目的」を読み解く

公募要領には、本補助金の目的が次のように記されています。 「小規模事業者が直面する制度変更(働き方改革、賃金引上げ、インボイス導入等)に対応するため、経営計画を作成し、それらに基づいて行う販路開拓の取組み等を支援する」

ここで最も重要なキーワードは、「経営計画を作成し」という一節です。

正直に申し上げれば、一般型の補助上限額である50万円という資金だけで、会社の運命が劇的に変わることは稀かもしれません。しかし、日々の業務に追われる経営者が、一度立ち止まり、自社の強みを振り返り、市場の動向を分析し、将来に向けた「戦略」と「戦術」を時間軸に沿って紙に落とし込む。このプロセスこそが、本補助金が提供する最大のベネフィットなのです。

2.「代行」を頼まない理由:計画書は経営者の「魂」である

世の中には、補助金の採択を請け負う「申請代行業者」が数多く存在します。しかし、当社が単なる代行を行わず、あくまで伴走支援にこだわるのには明確な理由があります。

経営計画は、経営者自身の言葉で語られなければ意味をなさないからです。

補助金獲得を目的とした、誰かが書いた「体裁の良い計画書」では、採択されたとしてもその後の事業が成功することはありません。自ら考え抜き、自ら書き上げた計画こそが、実行段階での力強い「羅針盤」となります。補助金はあくまで「戦術を加速させるための追い風」として捉えるべきであり、補助金をもらうために事業をひねり出すのは本末転倒と言わざるを得ません。

3.審査員の視点:15分で伝わる「一貫性」と「納得感」

では、採択される計画書とはどのようなものでしょうか。公募要領にある「審査の観点」を読み解くことが第一歩ですが、実務的なリアリティも無視できません。

審査員は、一通の計画書を何時間もかけて熟読するわけではありません。多い時には15分程度で内容をチェックし、評価を下すこともあります。その短時間で「この事業者は信頼できる」と感じさせるには、以下の3点が不可欠です。

  • 一貫性:自社の課題、解決策としての取り組み、そして将来の収益見通しが一本の線で繋がっているか。
  • 分かりやすさ:専門用語に逃げず、誰が読んでも「何をしようとしているか」が即座に伝わるか。
  • 実現可能性:小規模事業者のリソース(人・モノ・金)で、無理なく、かつ確実に実行できる計画か。

売上や利益に「無理のない、かつ意欲的なストレッチ(成長性)」が描かれていることも、プロの視点からは重要な評価ポイントとなります。

4.未来に視点を向ける「時間の投資」

補助金の申請作業を、単なる「事務作業」と捉えるか、未来のための「投資」と捉えるか。その姿勢の差が、数年後の経営の明暗を分けます。

「今の延長線上」ではない未来を描くために、経営者が自らペンを執る。その姿勢こそが、審査員に、そして何より顧客に伝わる信頼の源泉となるのです。

次回は、この「経営計画」を具現化し、持続可能な成長を実現するために、なぜ現代においてITツールやWeb戦略が不可欠なピースとなるのか、具体的な実践編をお届けします。

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この記事を書いた人

多摩地域を中心に活動する中小企業診断士/FP1級技能士/プログラマーが経営する会社です。会社が本業に集中するための時間を生み出す、「すぐできDX」を推進しています。
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