「生成AIを導入したが、思ったような回答が返ってこない」
「プロンプトエンジニアリングを学ぶ時間がない」
昨今、多くの経営者様からこのようなお悩みを伺います。書店には「魔法のプロンプト集」が並び、SNSでは複雑な命令文のテクニックが飛び交っています。それらを見て、「自分には使いこなせない」と感じてしまうのも無理はありません。
しかし、もし「プロンプトは、人間が頑張って書くものではない」としたらどうでしょうか?
今回は、FP Supportersが開発現場で実践している、AI活用のカギとなる「メタプロンプティング」についてお話しします。これは、AIを単なるツールから「自律的な部下」へと昇華させ、経営者の時間を本来注ぐべき意思決定へと戻すための思考法です。
「プロンプトを考える」で手が止まる本末転倒
生成AIを活用する上で、「役割を与える」「#をつけて条件を明示する」といったテクニックは確かに有効です。しかし、これらのお作法にこだわりすぎるあまり、パソコンの前で「どう書けばいいのか」と悩み、手が止まってしまっては本末転倒です。
私たちが提唱する「メタプロンプティング」の定義は、学術的なそれとは少し異なります。実務において最も効果的な定義、それは「プロンプト(指示書)自体を、AIに作ってもらうこと」です。
指示出しのプロである必要はありません。あなたは経営者として、やりたいことの「核」を伝えるだけでいいのです。
開発現場の事例:機能(What)から入ると失敗する
私たちの主事業の一つである、Google AppSheetなどを用いたローコード開発の現場でも、この「メタプロンプティング」的なアプローチが欠かせません。
失敗しやすいパターンは、最初から「機能(What)」や「完成形」をAIに指示してしまうことです。
例えば、「在庫管理アプリを作りたいから、データベースの構造を教えて」といきなり聞いてしまう。これでは、現場の実情に合わない、ありきたりな提案しか返ってきません。
成功への転換:「誰のために(Who/Why)」から対話する
成果が出るアプローチは、作るものの詳細を決める前に、AIと対話を行うことです。
人間(経営者): 「現場の担当者が在庫確認のために倉庫と事務所を往復していて、無駄が多いと感じている。これを解決するアプリを作りたいんだけど、どんな要件が必要だと思う?」
AI: 「それなら、スマホでバーコードをスキャンしてその場で処理できる機能や、在庫切れアラート機能が必要かもしれませんね。他には、発注業務との連携も課題ではありませんか?」
このように、「何を作るか」を決めるための要件定義自体をAIに行わせるのです。
AIからの逆質問や提案を受けることで、人間だけでは気づかなかった「抜け漏れ」を防ぎ、結果として手戻りのない、現場で本当に使われるシステムが完成します。
これが、私たちが考えるメタプロンプティングの効果です。
経営者の役割は「入力者」ではなく「承認者」
多くの経営者が陥りがちな誤解は、AIを「検索エンジンの延長」や「魔法の杖」として扱い、一方的に答えを求めてしまうことです。しかし、文脈(コンテキスト)を与えなければ、AIは一般的な回答しか返しません。
AI活用における経営者の真の役割は、一生懸命プロンプトを書くことではありません。
AIにプロンプト(指示案)を書かせ、それを「監修・マネジメント」することです。
- 大枠を投げる: 目的と課題感をラフな言葉で伝える。
- AIに作成させる: 「この課題を解決するための、最適な指示書(プロンプト)を書いて」と依頼する。
- 承認する: AIが出してきた指示書案を見て、「この部分は違う」「ここは良い」とフィードバックし、採用する。
これはまさに、優秀な部下に対するマネジメントそのものではないでしょうか?
部下に「企画書書いて」と指示し、上がってきたものをチェックする。AIに対しても同じスタンスで接することで、業務効率と生産性は大きく向上します。
まとめ:AIを「右腕」として育てる
「なんとなく便利そうだから使う」段階から一歩抜け出し、「AIをマネジメントする」段階へ。
メタプロンプティングは、プロンプト作成という作業からあなたを解放します。細かな記述に頭を悩ませる必要はありません。「私の代わりに最高の指示書を作って」と頼めばいいのです。
AIは、指示を待つだけの機械ではなく、共に考え、提案してくれるパートナーになり得ます。ぜひ今日から、AIへの「指示の出し方」そのものを相談することから始めてみてください。それが、貴社のDXを加速させる最短ルートになるはずです。

